カフカ「変身」

今週のお題「心に残った本」

(ネタバレ)
ある朝突然巨大な害虫に変身してしまった男の話である。

普通、主人公の部屋に巨大な虫がいて、意思の疎通が出来ない場合、
家族は化け物が侵入して主人公を食ってしまったと思い込む筈なのに、

登場人物の全てが、この害虫が主人公の変身だと即座に理解している。
その事から読者は「虫」は暗喩である事に気づく。

主人公は一家の働き頭であったのに、変身して家族という集団の役に立たなくなった為に次第に疎外され、孤独に死んでしまうというお話。

人は誰しも集団の中で有用な役割をこなして日々生きており。
それがこなせなくなったばかりか、お荷物になった時点で不要となり
愛情の対象外となる。

主人公がこのような境遇になっても最後迄ずっと妹ラブなのが滑稽で悲しい。